ホタルブクロ

 ホタルブクロは、平地から山地に広く分布する多年草で、日当たりの良い草原や林縁などに見られる。初夏から夏の前半にかけて、ホタルの飛び交う時期に釣り鐘型の花を茎に多数咲かせる。草丈は30~80cm程度で、花の色は白、紫、ピンクなどがある。細い地下茎を伸ばして増え、開花した株はタネと多数の子株を残して枯れる。子株は1~2年で親株になる。原産地は、東北アジアと朝鮮半島、日本である。

 ホタルブクロには、本州の山地に分布する紫色のヤマホタルブクロ、伊豆諸島に分布する小さい白い色のシマホタルブクロ、四国の石立に分布する薄紫色のイシダテホタルブクロ、朝鮮半島に分布する黄色の黄花ホタルブクロ、花びらが裂けて糸状になる白糸ホタルブクロなどの種類がある。

 ホタルブクロの花言葉は、「忠実」「正義」と言われている。

 ホタルブクロという名は、花の姿が教会の鐘を連想させることに由来するらしい。また、ホタルブクロの和名は、「昔、子供達がホタルを捕まえて、ホタルブクロの花の中に入れて遊んだこと」や「花の中にホタルを閉じ込めるとホタルのあかりが外へ透けて見えること」に由来しているという説がある。

ロウバイ・ソシンロウバイ

 ロウバイは落葉広葉樹の低木で、高さは2~5m程度で、樹皮は淡灰褐色で皮目は縦に並び、生長とともに浅く割れる。花期は1~2月で、早生種は12月頃に咲く。花色は外側が淡黄色、内側は暗紫色である。葉の長さは10~20cmの細い超楕円形である。種子は有毒であるが、花やつぼみから抽出された臘梅油はやけどの薬に用いられる。

 原産地は中国で、17世紀の初めに来日した。庭木として植えられている。

 品種には、ソシンロウバイ、満月ロウバイ、白花ロウバイ、唐ロウバイなどがある。ロウバイの基本種は花の中心部は暗紫色で、周囲が黄色であるが、ソシンロウバイは花全体が黄色である。

 ロウバイの花言葉は、「ゆかしさ」「慈しみ」「先見」「先導」などがある。

ボケ・カンボケ

 ボケは原産地は中国で、日本には平安時代に渡来し、本州から四国、九州で観賞用に栽培されている帰化植物である。名称の由来は果実が瓜に似ていることから木になる瓜で木瓜(もくか)と呼ばれたものが「ぼけ」に転訛したと言われている。

 早春から梅に似た花を咲かせて春の訪れを知らせてくれる落葉の低木で樹高は1~2m程度で、株立ちになり茎はよく枝分かれして若枝には褐色の毛、古くなると灰黒色になる。樹皮は灰色や灰褐色で、小枝は刺になっている。花は3~4月に朱色の5弁花を咲かせる。秋には楕円形の果実を結実する。花色は淡紅、白と紅の斑、緋紅、白などがある。冬咲きのカンボケは11月から12月に花を咲かせる。

 ボケの花言葉は、「先駆者」「妖星の輝き」「指導者」「熱情」「平凡」「退屈」などがある。

オオデマリ・コデマリ

 オオデマリは、アジサイによく似たボール状の花を咲かせる落葉低木である。名前の由来は花が大きく鞠のようにまとまってつくことから名づけられた。オオデマリの花は、写真に示すように咲き始めはライムグリーンで徐々に白色に変化していく特徴があり、2週間程度の期間をかけて左の写真から右の写真に変化する。日本の本州以南から九州、台湾、中国大陸に分布している。花序はガクアジサイに似て、中心部に小さな両性花があり、花弁が変化した白色の装飾花が縁取りのように取り囲む。花後すぐに赤い果実がなり始め、熟すにしたがって黒く変化する。オオデマリは花だけではなく、水平に出る枝で形づくられる整然とした樹姿も美しく、葉は秋に美しく紅葉する。

 丈は3~4mで、開花期は5月中旬から6月の上旬である。花の色は白色であるが、桃色のものもある。花の付き方は植物によってまちまちで、アジサイは枝の頂点に花をつけるが、オオデマリの花は主軸の枝から横に広がるように枝が伸び、その枝から短い枝が出て花が開花する。

 オオデマリと似た名前のコデマリは植物的には違うグループの花木で、バラ科の植物である。オオデマリの木立は一般的な木の姿であるが、コデマリは株元から無数の枝を放射状に出すタイプの花木である。

 オオデマリの花言葉は、華やかな恋、優雅なたしなみ、約束を守って、天国、私は誓いますなどがある。コデマリの花言葉は、小さな白い花が集まって咲く花姿が美しいことから、「優雅」「上品」や「努力」「友情」などといった花言葉が付けられました。

シジミバナ・ユキヤナギ・コデマリ

 シジミバナはバラ科の落葉低木であり、10mmほどの小さい白い花を咲かせる。花柄は15~25mm程度で、1カ所から数個の花柄が伸びる。主立った幹はなく、地際から生じた複数の細かな枝が上に向かって広がるように伸びる。若い枝は赤みを帯びた褐色であり、柔らかな毛が生じる。開花は4~5月で、3~10輪の白い花が傘状にまとまって咲く。原産地は中国南東部、台湾、朝鮮半島である。シジミバナの名前は、八重咲きの花の様子がシジミ貝の身に似ていることに由来する。シジミバナの花言葉は、未来への期待、控えめだが可愛らしいである。

 シジミバナによく似た花にユキヤナギやコデマリがある。共にバラ科に属し、多くの共通点がある。ユキヤナギは花に細長い柄があり、数個ずつ集まっているが、その数が多くないので手まり状にはならない。コデマリは数十個の花がゴルフボールよりもやや小さい球面状に並ぶ特徴があり、小さな蹴鞠を連想させる。上部から見ると、すべての花の柄が放射線状に出ているように見える。シジミバナはユキヤナギほどに密集しないので茎や葉を覆い隠さない。開花の順番は、ユキヤナギ、シジミバナ、コデマリの順に咲く春の花である。

フクロナデシコ・カワラナデシコ

 フクロナデシコは、イタリア原産、地中海沿岸の植物でヨーロッパに分布するナデシコ科コンテマ属の一年草であり、美しい桃色や白色の花を咲かせることから世界中で栽培されている。茎の頂部に花序を出し花を上向きに咲かせる。花が咲くと袋状の可愛らしい萼が風船のように膨らみ、萼の長さは1.3~1.8cm程度で、その中で種子ができる。萼には10本の濃色の脈が目立つ。フクロナデシコの名の由来は萼が袋状に膨らむことからきている。草丈は15~45cmぐらいで、花は5枚の花被片を持ち、それぞれの花被片は2裂する。基本種の花色は桃色であるが、白い花を咲かせる品種もある。開花期は4月~6月である。花言葉は、未練、しつこさ、裏切り、偽りの愛、誘惑、罠などがある。

 ナデシコは、秋の七草の一つであるカワラナデシコで代表される花で、日本、中国、台湾、朝鮮半島などのアジア原産のナデシコ、ヨーロッパや北米原産のナデシコなどの北半球の温帯域を中心に分布するナデシコ科ナデシコ属の多年草である。日本にのみ自生するナデシコには、カワラナデシコ、エゾカワラナデシコ、タカネナデシコ、ヒメハマナデシコ、ハマナデシコ、シナノナデシコなどがある。開花期は5月~8月で茎の頂部に花径4~5cmの花を1~数輪咲かせる。花は糸状に細裂した5枚の花弁を持ち、花弁の基部には細い毛が生えている。花色は赤、桃、白、黄、褐色、黒などがある。品種には、日本各地に自生するカワラナデシコ、ヨーロッパ原産のヒゲナデシコ、タツタナデシコ、ヒメナデシコ、中国原産のセキチクなどが有名である。花言葉は、無邪気、純愛、可憐、貞節、女性の美などがあり、女性的な性質が強い。

 次の右画像はフクロナデシコ、左画像はカワラナデシコを示す。

トチノキ・ベニバラトチノキ

 公園のあちこちでトチノキが花を咲かせている。トチノキは、北海道、本州、四国、九州に分布する温帯の落葉広葉樹林の構成種の一つで、東日本を中心に分布している。大木に成長し、樹高25m 、直径1mを超えるものある。葉も大きく、全体の長さは50cmにもなる。長い葉柄の先に倒卵形の小葉5~7枚を掌状につける。

 花期は5月~6月で、葉の間から穂状の花序が現れ、高く立ち上がり、個々の花と花弁は大きくないが、雄しべが長く伸び、全体としてはにぎやかで目立つ。花弁は乳白色で、蜜と花粉がある3日間は黄色の斑点が出るが、それ以降は赤色に変化する。赤い点がある花は、蜜だけを盗む虫に対する目くらましのための装飾花の役目で、花色の変化は、赤い点と黄色い点の違いが識別可能な受粉を促す昆虫へのメッセージと考えられている。初秋に実がみのる。ツバキの実に似た果実は、熟すにつれて厚い果皮が割れ、少数の種子を落とす。種子は大きさ、艶、形ともにクリに似ているが、色は濃く、球状をしている。この種子は「栃の実」と呼ばれて食用にされる。

 ベニバナトチノキは北米南部原産のアカバナトチノキとヨーロッパ原産のセイヨウトチノキの交雑種で、5月頃に八方に広げた葉の先に赤い花を天に向かって伸びるように咲かせる。 房咲きで、やや黄みを帯びた紅色をしている。 紅色には濃いものから薄いものまで幅がある。 雄しべが花の外に突き出して、雄花と両性花を付ける。

クリスマスローズ

 クリスマスローズは冬の寒い時期に咲くバラに似た花でバラとは全く異なる種類の花であり、冬の女王とも言われている。赤、ピンク、白、黄色、緑、紫、黒などの華やかな色の花を1月~4月頃に咲かせる。草丈は30~60cm程度で、花言葉はいたわり、追憶、慰めなどがある。

 クリスマスローズは、無茎種といって、茎がなく、根茎から葉柄と花柄が別々に伸びる。多年草で多くは常緑であるが、落葉するものもある。花色、花形のバリエーションが多く、種で増やしている株では、1株ごとに異なる花を咲かせる楽しみのある草花である。

 ニゲル種とハイブリッド種の2系統があり、ニゲル種は、開花時期が冬咲きで、12月から2月で、白から咲き進み淡いピンクとなり、やや上向きに開花する。クリスマスローズの名前の由来となった原種である。ハイブリッド種は、春咲きで2月から3月で、花色は白、緑、ピンク、茶など豊富で、うつむいたように下向きに開花する。様々な交配を得て生み出された園芸種である。

 クリスマスローズはイエス・キリストの誕生に関わる花で、12月25日の誕生花になっている。貧しい羊飼いの少女マデロンの有名な伝説がある。貧しい少女マデロンが誕生日の贈り物ができない悲しみから流した涙が落ちた土の中から白いクリスマスローズが咲き乱れ、その白い花束を贈り物として聖母マリアと幼子キリストに捧げたという話である。

ホトトギス・キバナホトトギス

 ホトトギスは日本の太平洋側に自生する多年草で、日陰のやや湿った斜面や崖、岩場に見られる。直径2~3cmで紫色の斑点のある花を1~3輪上向きに咲かせる。

 茎は枝分かれせずに、まっすぐ斜めに伸び、場所によっては弓なりに垂れることもある。花の色は白、紫、ピンク、黄色などがある。草丈は30~100cm程度で、葉は左右に互生し、葉の両面に軟毛が生える。開花期は8月~10月頃である。
種類は10種ほどあり、ホトトギス白楽天、花弁が白に近いピンク色のシロホトトギス、茎の先端に鮮黄色で赤紫色の斑点が散るキバナホトトギス、台湾と西表島にみられるタイワンホトトギス、茎に毛がないサツマホトトギス、花弁が反り返った花を咲かせるヤマホトトギス、やや明るい林に見られるヤマジノホトトギス、九州南部の森林に咲くタカクマホトトギス、葉が黒い烏葉のチャボホトトギスなどがある。

 名前の由来は、花の紫色の斑点の様子を鳥のホトトギスの胸にある斑点に見立てたことによると言われている。

 ホトトギスの花言葉は「永遠にあなたのもの」「秘めた意思」などが付けられている。

ハナトラノオ

 ハナトラノオは「ハナ」と「トラノオ」という2つの単語から出来ている花の名前である。トラノオ(虎の尾)は、ハナトラノオの花穂の長く上に伸びる様子が虎のしっぽのようだという意味からつけられたもので、虎の尾のような花という意味合いで用いられている。

 原産地は北アメリカ東部で、草丈は大きくなると子供の背の高さほどにもなり40cm~1m程度になる。花色は薄紫色やピンクなどが一般的であるが、中には白い花が咲く品種もある。シソ科の植物で草原や河川敷などの日当たりのよい場所に自生している。開花期は7月~10月である。日本でも夏から秋にかけて全国に分布している多年草で、日本には大正時代に入ってきた。

 花言葉は「希望」「望みの達成」と言われており、その由来は花の開花が下から上へとだんだんと開いていく様子を表したものである。上昇志向とそれを叶えていく様子を開花になぞらえて花言葉として用いられた。明るい未来を夢見る人に贈る花とも言われている。

ハナイカダ

 ハナイカダは、葉の上に花が咲くのが特徴の落葉性の低木である。木の本来の花の位置は枝の先端に生殖用の葉が集まったものであり、芽のできる位置に作られる。従って、通常は葉に花が付くことはない。この木の場合、花序は葉腋から出たものであり、その軸が葉の主脈と癒合したためにこのような形になっている。

 名前の由来は、花の載った葉を右の写真の筏に見立てたものである。別名ヨメノナミダとも言い、北海道南部、本州、四国、九州の森林に自生する。花弁は3~4枚で、4月~5月にかけて花を咲かせる。秋には黒い液果が実る。甘味があり山菜として使用される。葉と果実は下痢止め、根は咳止め用いられ、茶花にも利用される。花言葉は、気高い人、嫁の涙、移り気などと言われている。

ナンバンギセル

 ナンバンギセルはイネ科の単葉植物であるイネ、ススキ、サトウキビ、ミョウガなどの根に寄生し、葉緑素がなく、宿主の根から吸収した栄養分に依存して生育する。全長は15~50cm、葉は被卵形、赤紫色の花を1個つける一年草で、花期は7~9月である。

 日本を含むアジア東部、アジア南部の温帯から熱帯にかけて生育する。原産地は日本、中国である。日本では北海道から沖縄まで広く分布している。

 植物でありながら葉緑素を持たないため、光合成で自ら栄養分を生み出せない植物である。ススキの根などに根元を巻き付けるようにして、自らのからだを食い込ませ栄養分を吸収する。地表に出ている部分は花柄と花の本体だけで殆ど地中に埋没している。宿主の成長は阻害されて、死に至ることもある。

 名前の由来は花の姿が南蛮人が使っているキセルに似ていることから名付けられている。花言葉は「物思い」で、うつむいて咲く花の姿を物思いにふけっている姿に見立てたことに由来している。古くは万葉集にも歌われている風情のある花であり、当時から尾花(ススキ)に寄り添って咲く花として知られていた。

タイサンボク・ハクモクレン・コブシ・ニシキモクレン

 タイサンボクはアメリカ合衆国南部を象徴する花木で、ミシシッピ州とルイジアナ州の州花である。花期は5~7月頃で、樹高20mにもなる公園樹である。花の白と常緑で光沢のある葉の深緑色が対比的で美しい。花が上向きに咲き、大きな葉の裏面には茶色の毛が密集している。日本には明治時代に導入されたと言われている。

 タイサンボクはモクレンやハクモクレン、コブシなどの仲間で、とても良い香りが特徴で、香水などの香りの成分として使われる。花言葉は「前途洋々」「威厳」と言われている。

 ニシキモクレンはモクレン、シモクレンとも言われて、シモクレンとハクモクレンの交配種であり、花びらの外側が濃い紅紫色で内側が白色になる品種である。花期は4~5月で大型の花を卵を立てたような上向きに半開させる。

 花言葉は「自然への愛」「持続性」「崇高」などと言われている。

 

雑木林の珍しい草花の話

 ホタルカズラは、ムラサキ科ムラサキ属に分類される多年草で、草むらの中に点々とつける花の色を蛍の光にたとえて名付けられたと言われている。高さは15~20cm程度で、茎の上部の葉の付け根に大きさ1.5cm程度の青紫色の花をつける。日本、中国、台湾、朝鮮半島に分布しており、開花時期は4月~5月である。公園のこもれびの丘南斜面の雑木林で咲いているのを見つけた。

 花言葉は、緑の中に輝くように咲く様子から「高潔」、「企み」などと言われている。

 日本では多数の都道府県でレッドリストの指定を受けている絶滅危惧種である。

 オキナグサは本州、四国、九州の日当たりのよい草原や林縁に生える多年草である。花後にできる種に白く長い毛があり、その種が密集して風にそよぐ姿を老人の白髪に見立ててオキナグサと呼ばれるようになったと言われている。こもれびの丘の雑木林南側斜面で見つけた。

 草丈30~40cm程度、開花期は4月中旬から5月下旬で、花色は暗赤紫色、赤紫色である。地下には太いゴボウ根性の根茎があり、春の暖かい日ざしが注がれると芽を出し、葉が開くと同時に白い毛で覆われた花芽を伸ばす。葉の伸びきる前に短い毛で覆われた赤紫色の花を下向きに咲かせる。

 全草プロトアネモニンなどを含む有毒植物で、植物体から分泌される汁液に触れると皮膚炎を引き起こすこともある。誤飲して中毒すれば、腹痛・嘔吐などの症状に至る。

 オキナグサの花言葉は、「何も求めない」、「奉仕」、「裏切りの恋」、「清純な心」、「華麗」など種々がある。前者は花が咲いた後にできる綿毛を飛ばす様子からつけられたものであり、後者は花が下から上を向くことからつけられたものである。

 オキナグサは、レッドリストの指定を受けている絶滅危惧種である

 イカリソウの名前は花の形が和船の錨に似ていることに由来している。メギ科イカリソウ属の落葉多年生で、低い産地の雑木林に生え、茎の先が3本の葉柄に分かれて、3枚の小葉がついている。花の色は薄紫、赤紫からピンク、薄黄色、白などがある。キバナイカリソウもある。花は葉の上部よりも下側にうつむき加減に咲かせる。背丈は20~40cm、横幅は25~60cmである。

 こもれびの丘南斜面で咲いているのを見つけた。原産地は日本、中国、東アジア、地中海沿岸で、日本では本州、四国の太平洋側の低い産地に分布している。花期は4月~5月で、観賞用や薬用に栽培されている。

 花言葉は「あなたを離さない」と言われいる。

 ウラシマソウは、2015年4月にこもれびの丘の雑木林で見つけて以来、公園では見ることができなくなっている。以前から、ウラシマソウは絶滅危惧種に指定されている山野草である。ウラシマソウは葉の下に、肉穂花序と呼ばれる穂のような花をつけるが、その先端の姿が浦島太郎が持っていた釣り竿の糸と似ていることから、このように呼ばれるようになったと言われている。花は、仏炎苞と呼ばれる黒褐色か、赤褐色、緑白色の苞に包まれている。
 草丈は、30~80cm程度で、開花期は4月から5月で、地下に里芋に似た大きな球根があり、春になると芽を伸ばす。ウラシマソウは性転換する植物として知られており、力のない株は雄花、力のある株は雌花になると言われている。生育の状態によって、毎年、雄花をつけるか、雌花をつけるか変わってくる。
 秋頃には、トウモロコシを縮小したような真っ赤な実をつける。美しい姿を見せるが、ウラシマソウの実にはサポニンという毒が含まれており、食べると激しい嘔吐や激痛に襲われる。
 ウラシマソウの花言葉は、不在の友を想う、懐古、回想などといわれている。ウラシマソウの種類は、南国に自生するナンゴクウラシマソウ、小型のウラシマソウであるヒメウラシマソウ、茎のまだら模様がマムシに似ていることからつけたマムシグサ、肉穂花序の先端が雪のように白く、餅のように丸いことから名付けられたユキモチソウ、大型種でありボクシングのグローブのような形をしたムサシアブミなど、数種類のものがある。

 最近、絶滅危惧種、準絶滅危惧種が増加しつつある傾向が気になる。
 

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